外壁塗装 色選びのポイント
外壁塗装の色はどうやって選べばよいでしょうか。これには周辺環境との調和、色そのもの特徴、塗装業者との相談の仕方にそれぞれポイントがあります。
ここでは、外壁塗装のポイントについて説明をします。
1. 事前準備
家屋の塗装色はその家の持ち主の好みも大切ですが、周辺の建物との調和も大切です。また地域によっては行政によって規制やガイドラインが設けられている場合もあります。まずはこのような外的条件を確認します。
名古屋市には「景観形成地区」というものがあります。これは自治体によって景観ガイドラインが定められているエリアのことで、このガイドラインから逸脱する色にした場合、最悪の場合は塗り直しを命じられてしまうことがあります。
- 西区 四間道周辺
- 中区 久屋大通周辺
- 東区白壁・主税町・撞木町
- 中区 広小路・大津通
- 千種区四谷・昭和区山の手・天白区八事周辺
- 名駅周辺
- 港区築地口周辺
- 千種区今池周辺
などが景観形成地区に指定されています。例えば「千種区四谷・昭和区山の手・天白区八事周辺」地区では、「建物デザインは、坂、緑、曲線、街並みに調和し、建築物の色彩は、樹木と調和した落ち着いた色彩(外壁色)にする。外壁色に赤・黄色・オレンジ・青を使う際には、アクセント程度に収める事。」というように指定されています。詳細は名古屋市のホームページなどでご確認ください。
景観ガイドラインが定められていない場合でも、周囲の雰囲気から浮いた色は近隣トラブルのもとになりますので、周囲との調和を考慮したほうが良いでしょう。自宅周囲を観察するとともに、自宅や自宅周囲をスマートフォンなどで撮影しておき、最終的に業者に相談するときに、周囲がどのような雰囲気でどのような色の家が多いかを塗装業者に伝えると、スムーズに状況を伝えることができます。
2. 色の選択
色には様々な特徴があります。また色そのものの特徴ではなく塗料の特徴もあります。その特徴を把握しておくと、色の選択をしやすくなります。
- 汚れの目立ちやすい色と汚れの目立ちにくい色
- 外壁の汚れとは、具体的には、砂や埃などの黄土色系の汚れと、苔やカビなどの緑色の混ざった薄い茶色の汚れになります。汚れが目立ちにくいとは、これらの汚れの色と同化しやすいということです。
最も汚れを目立ちにくくする効果の高い色はグレー系になります。また、アイボリーや薄いブラウン、ベージュ系の色も汚れが目立ちにくくおすすめです。
汚れが目立ちやすい色は白系や黒系の色になります。 - 色褪せしやすい色と色褪せしにくい色
- 日光の紫外線には色あせ(変色)を起こす効果があります。
紫外線の効果を受けやすく変色しやすい色には、赤、紫、緑、黄色があります。透明度が高く原色に近い鮮やかな色や暖色系の色です。特に赤と紫は石油由来の有機顔料を用いており、紫外線により変色しやすくなります。
紫外線の効果を受けにくく変色しにくい色には、白、黒、グレー、ベージュ、茶色、青などがあります。 - 虫の集まりやすい色と集まりにくい色
- 虫は紫外線を目当てとして集まるので、紫外線をよく反射する色には虫が集まりやすく、紫外線をあまり反射しない色には虫が集まりにくくなります。
紫外線を反射する色は、白、青、紫、黄色などで、紫外線をあまり反射しない色は、黒、グレー、ブラウン、赤系となります。
しかし、黒は熱を吸収して屋内が熱くなりやすく、赤系は色褪せしやすい色です。そのため虫の多いところではグレーやブラウン系の色がおすすめとなります。
また、関西ペイントのアレスダイナミックノキエ、アレスムシヨケクリンカラーなど虫除け効果のある塗料もあります。 - 色の組み合わせ
- 以上のような色の特徴を見ていくと、外壁に向いた色というのは限られてきます。
汚れが目立たず、変色しにくく、虫が集まりにくいという条件を満たすものとなると、無難な色はベージュやグレー系となります。これはどの家でも同じですし、周囲との調和という点から見ても、奇抜で個性的な色よりも、これらの薄い色を用いるほうが上品で高級感のある雰囲気が出るでしょう。
しかし、外壁の色を一色にしなければいけないわけではないので、色を組み合わせることで個性やセンスの良さを表現することができます。
具体的には、アイボリーとオレンジ系、ベージュと茶系、白とグレー系、クリームと茶系など、同系色や彩度の同じ色を組み合わせると調和が取れ、建物にまとまりが出ます。
ただし、色の組み合わせは2〜3色までにしておいたほうが良いです。それ以上に色を増やすとまとまりのない配色となってしまいます。色の割合は多くの色を塗るベースカラーともう一色アソートカラーを決めて、6:4か7:3ぐらいにすると配色のバランスが良くなります。 汚れが目立ちやすい、変色しやすい、虫が寄りやすいなどの悪条件の色も、3色目のアクセントカラーとして用いると個性的でスタイリッシュな外見となります。 - 色の配置
- ベースカラーとアソートカラーで塗り分ける場合、1階と2階で塗り分ける方法があります。そのとき、1階に濃い方の色を使い2階を薄い方の色にすると落ち着いた雰囲気となります。逆にするとアクティブなイメージになります。
また、家屋の部位によってもおすすめの色の傾向があり、下記のようになります。
- 軒天(上裏):薄めの色
- 雨樋:既成品に近い色
- 庇(霧除け):既製品に近い色
- 雨戸・シャッターボックス:サッシに近い色
- 破風板(はふいた)・化粧胴差:既製品に近い色
- 破風板(はふいた):屋根と同じ色
3. 業者への相談
外壁塗装のトラブルで多いケースは、外壁塗装の仕上がりがイメージしていた色と違うというものです。このようなトラブルを防ぐためにも、塗装業者としっかりと相談をしましょう。
その相談方法は、ここまでにやってきたことを説明すれば大丈夫です。
まずは、自宅や自宅周囲の写真を見せます。これにより塗装業者はどのような地区のどのような家なのか、周辺環境や近隣はどの様になっているのかを知ることができます。また景観形成地区に入っているかどうかを調べるためにも、住所ははっきりと伝えましょう。
塗装業者は、今までに施工した事例などを見せてきてその中から選ぶということが多いです。その際に、自分のイメージする塗装結果を言葉で伝えると候補を絞り込みやすくなります。「カントリー風のテイストで」「ナチュラルなベージュで」「虫が寄りにくいと聞いたのでグレー系が良い」などのなぜその色を選んだのかを説明すると伝わりやすいです。「白と茶の2色」などの言い方では、塗装業者はなぜその色なのかが分からないのでイメージを合わせにくくなってしまいます。
また、理想的な色の家があったら写真に撮っておき、「このような家が好みだ」と参考資料として送るのも効果的です。
塗装する色の方針が決まったら、塗装業者の使用する塗料のカタログを確認して、最終的な色を決めていきます。その際に業者と一緒に色見本を見ながら決めていきましょう。
色は色相、明度、彩度の3つの要素で決まり、同じ色のように見えても微妙に違う色がたくさんあります。日本塗料工業協会の定める塗料用標準色は654色もあります。そのため一口に「ベージュ」と言っても様々な色の種類があり、イメージが異なってきます。
また、色を見ている環境や媒体によっても受けるイメージが変わってきます。天候や自然光か蛍光灯か、またパソコンやスマホのモニターによっても受ける印象が異なります。また、外壁材の模様によっても見え方が異なることがあります。そのため、業者と一緒に色見本を見ることが大切になります。